発達障害の子どもの睡眠を整えるには?18年続けた眠育の話
今回は、発達障害のある息子を「眠育」してきた話を書いてみたいと思います。
夜中にブログを書いて、明け方に更新するくらいなら、いったん寝て朝に書いたほうがいいです。
寝不足のまま一日を始めるより、どう考えても生産的です。
そんな当たり前のことに、ようやく気づきました……。
今日はやっと朝5時に起きられました。
いや、正確には、息子に起こされました。
息子は夜9時ごろに寝るのですが、朝はだいたい5時前に起きます。
起きたらすぐに、自分の活動をイキイキと始めます。
いわば、彼なりの「朝活」です。
90年代のCDをコンポに入れて流したり。
別のラジカセでラジオをつけたり。
さらにテレビまでつけたりします。
なかなか賑やかです……。
息子は自分でたくさん話せるわけではありません。
でも、そのぶん「言葉」や「音」に強く惹かれているのだと思います。
朝、わたしも自分の部屋にいます。
なので、息子がリビングで紅茶を入れて、音を鳴らして、遊んでいる時間は、なるべく邪魔しないようにしています。
もちろん近所迷惑には気をつけます。
家族が起きてきたら、「音源はひとつまで」にしてもらいますが(笑)。
息子の眠育を本格化したのは3歳から
息子には、強い多動性と衝動性があります。
てんかんもあります。
発達障害があり、重度知的障害もあります。
赤ちゃんのころから睡眠は意識していましたが、本格的に「眠育」を始めたのは保育園時代です。
きっかけは3歳ごろでした。
てんかん発作が増え、入退院を繰り返していた時期です。
療育にも早く取り組んだほうがいいと言われますが、睡眠も同じだと感じていました。
「整えるなら、早いほうがいい」。
これは体感として、ずっと思ってきたことです。
睡眠を主役にして生活を組み立てる
子どもの生活リズムを整えるというと、なんとなく早寝早起きをさせる話に見えるかもしれません。
でも、わたしがやってきたのはもう少し違います。
先に「年齢に応じた必要な睡眠時間」を確保して、そのあとに活動時間を組み立てる、という考え方です。
睡眠を主役にして、一日の予定を決めていくイメージですね。
3歳ごろは、夜8時に寝かせて、朝6時半に起こしていました。
3〜6歳くらいの時期は、夜の睡眠と昼寝を合わせて、1日10〜12時間くらいの睡眠が必要だと言われています。
その後、成長とともに昼寝は減っていきます。
4歳以降は昼寝が不要になることも多いので、基本は夜の睡眠をしっかり確保することをひたすら毎日守っていました。
今は夜9時すぎに寝ます。
いったん眠ると、朝まで起きません。
これは親にとって、本当に大きいです。
日中の子育ては大変でも、夜に親がひと息つける。
自分自身もちゃんと眠れる。
それだけで、メンタルの安定感はかなり変わります。
障害のあるお子さんの中には、睡眠に関する困りごとを抱えている子も少なくないですよね。
生活リズムを意識しても、病気や特性の影響で、思うように整わないこともあると思います。
親御さんの負担が大きくなりやすい部分だと感じます。
そんな中で、わが家では夜の睡眠が少しずつ安定してきたのは、とてもありがたいことでした。
「生活リズムを整える」は、体内時計を整えること
生活リズムを整えるというのは、気合いで早寝早起きをさせることではありません。
体内時計に沿った生活をつくることです。
朝起きたら、まず光を浴びる。
これは必須です。
光を浴びることで、体の「メイン体内時計」が24時間にリセットされます。
次に、朝食を食べる。
すると、今度は消化器系の「サブ体内時計」が整います。
ここを意識するだけでも、かなり変わります。
さらに、コルチゾール、メラトニン、セロトニン、成長ホルモンなどが、一日の中でどう動くかをざっくり理解しておくと便利です。
時間帯によって、何をさせるか。
どの時間に、どんな活動が向いているか。
そういう視点で子どもの一日を見ていくと、生活がかなり組み立てやすくなります。
保育園での「お昼寝」問題
保育園時代、夜なかなか寝なくて、寝かしつけに時間がかかる時期がありました。
そういうときは、保育園での昼寝時間を確認していました。
すると、昼寝が長すぎる日があったのです。
当然ですが、昼に寝すぎると夜の睡眠に響きます。
なので、夜の睡眠に影響しない範囲で、昼寝時間を調整してもらうことがありました。
逆に、疲れる活動が多かった日は、夜の就寝時間を少し早めることもしました。
ここはかなり地味です。
でも、こういう細かい積み上げが、結局はいちばん効きます。
高等部での「朝の30分歩行」の体験
支援学校の高等部に入ってから、日中の情緒が不安定になることがありました。
問題行動が出る日もありました。
そこで見直したのが、朝の過ごし方です。
それまでは車で送っていたのですが、徒歩での付き添い通学に変えました。
朝、太陽の光を浴びながら、30分歩く。
ほどよく汗をかく。
この習慣に変えたところ、学校での行動面が落ち着くことがありました。
朝の光と運動でセロトニンが活性化しやすくなる。
そういうリズムづくりが、結果として日中の安定につながったのだと思っています。
偏食が強くても、食事でできることはある
息子はかなり偏食が強い子でした。
保育園時代は、お米、お肉、魚、野菜がほとんど食べられませんでした。
飲み込みにくいもの。
繊維が残るもの。
そういうものが苦手でした。
野菜はポタージュにしたり。
細かく刻んで、やわらかく煮込んだり。
かなり試行錯誤しました。
食事には本当に悩まされましたね……。
それでも、時間栄養学を学んだのは大きかったです。
「何を食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」も大事だとわかったからです。
偏食があっても、体内時計を整える食べ方を意識して工夫することはできます。
朝食は、睡眠リズムを整える起点に!
朝食はとても大事です。
寝ているあいだに、体の中のエネルギーは減っています。
朝に何も食べないと、頭がぼんやりしやすくなります。
これは、眠っている間に脳はブドウ糖を代謝して、朝にはエンプティ状態になっているから。
なので、朝は糖質とたんぱく質をしっかり意識します。
たとえば和食なら、ごはん、卵、納豆、魚、味噌汁、野菜スープなどです。
洋食なら、パン、ヨーグルト、卵、チーズ、バナナ、サラダチキン、スープなどでもいいでしょう。
大事なのは、無理なく組み合わせることです。
たんぱく質の中に含まれる必須アミノ酸の中の「トリプトファン」は、体のリズムを考えるうえで重要です。
朝に摂った栄養が、日中のセロトニンにつながり、夕方以降のメラトニンの材料にもなっていきます。
また、温かい朝食は体温を上げてくれます。
体温が上がると交感神経が働きやすくなり、自然に活動モードへ入りやすくなります。
昼食や夕食にもポイントはあります。
でも、今回は朝の話に絞ります。
18年かかって、生活全体が整ってきました
あれほど偏食が強かった息子ですが、今では好き嫌いがほぼゼロになりました。
お米も大好きです。
魚も肉も食べます。
野菜もよく食べます。
こういう日が来るとは、正直あまり思っていませんでした。
だからこそ、親として頑張ってきてよかったです。
生活リズムを整えることは、集中して頑張る時期と、長くとらえる視点も大切だったのだなと今ならわかります。
息子の場合は、睡眠覚醒リズムは4歳のときにはしっかり作られましたが、食事を含めてみればゆうに18年かかりました。
でも、18年かかったとしても、整っていくなら意味はあります。
子育てというのは、そういう長期戦ですよね。
そして今は、別の悩みも出てきました
息子は、わたしの身長164.5cmをついに超えました。
もうすぐ170cmくらいになるかもしれません。
成長はうれしいです。
でも、親の悩みは終わりません。
今度は第二次性徴です。そう、テストステロンです……。
これについては医療的な断定はできませんが、ひとつの体験として感じていることがあります。
息子は幼少期から睡眠リズムがかなり整っていました。
夜にはしっかり眠れていたので、メラトニンの分泌も比較的安定していたのではないか、と感じています。
メラトニンには睡眠に関わる働きだけでなく、性腺抑制作用も示唆されています。
なので、第二次性徴が「遅れた」というよりは、その子なりの適切なタイミングで来たのかもしれません。
とはいえ……。
「男の人」になってきて、親としてはまた別の大変さがあります。
子育ては、悩みが終わるというより、テーマが変わっていくものですね。
眠育は、親を守るためにも大事
ここが一番伝えたいことです。
眠育は、子どものためだけではありません。
親を守るためにも大事です。
子どもが夜しっかり眠れる。
親も眠れる。
それだけで、家族全体の安定感はかなり変わります。
障害がある子の子育ては、きれいごとでは回りません。
体力も必要です。
気力も削られます。
だからこそ、睡眠を軽く見ないほうがいいです。
「生活の土台をどこに置くか」と考えたとき、わたしはやはり睡眠をかなり上に置きます。
派手さはありません。
でも、効きます。
そして、長い目で見ると、じわじわ人生を助けてくれます。
コツコツ生活リズムを整えることを積み上げるしかないです。
でも、その積み上げは裏切らないと思っています。
発達障害の育児で役に立った本3選
新書で読みやすく、学びが深まった本を厳選して3冊ご紹介します。
もともと家庭内で息子にだけ眠育をしてきましたが、子どもの睡眠を守るために、講師活動を始めようと思い立ったきっかけの一冊。
三池輝久先生の『子どもの夜ふかし脳への脅威』は必読の書です。

時間栄養学を学ぶなら、柴田重信先生の『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』がおすすめです。

さまざまな不調に対応するために「鉄」を見直すきっかけになった本は、藤川徳美先生の『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』です。

少しでも、同じような子育てをしている方の参考になれば幸いです!
